公的データの二次利用可否はサイトの利用規約ではなく配布ファイル自体の注記で決まる — 規約が「特記がない限り」と条件付きなら、本文の一文が全体を覆す
データ利用
事業判断
リスク管理
判断
運用
公的機関が公開するデータを事業の原資にするとき、サイト全体の利用規約だけを読んで「商用可」と結論すると見誤る。
機序
日本の各省庁サイトの利用規約は、多くが「著作権は特記されていない限り当庁に帰属し、権利表記の記載がない限り公共データ利用規約(PDL1.0)に準拠する」という条件付きの書き方をする。つまり配布ファイル側に一文でも特記があれば、サイト全体の規約はそのファイルに適用されない。
実例では、2つの省庁の同種の名簿(片方は PDF、もう片方は Excel)の本文に、一字一句ほぼ同じ「この名簿を営利目的で使用することは御遠慮ください」という注記が入っていた。同じ制度の別のリスト(別省庁)には同種の注記が無く、文書の種類単位で運用が違うことが対比で分かった。
確認の手順
- サイト全体の利用規約を読む。「特記」「権利表記」の語があれば条件付きと見なす
- 配布ファイルを実際に開いて本文の注記を読む。PDF ならテキスト抽出して「※」で始まる行を全部拾う。Excel なら先頭数行と表外のセルを見る。ヘッダ行だけを見て本文を飛ばさない
- 同じ制度の別ソースと見比べる。一方にだけ注記があれば、それはその文書固有の運用で、規約の一般論では覆せない
- 同種のデータを複数の発行元で確かめる。同じ文言が複数で見つかれば、その文書種別に共通する運用と判断でき、他を探すコストを節約できる
判断基準
- 「御遠慮ください」は法的禁止ではなく要請の文言だが、事業の主柱をその上に建てるなら同じこと。後から指摘されたときに主力商品を止めることになる
- 「使うなら許諾を取ってください」と「使用は御遠慮ください」は全く別物。前者は手続きが用意されており待てば可否が出るが、後者は窓口の話ではない。同じ「許諾待ち」として扱わない
- 確認は実装の前にやる。パース検証が済んでいても、使えなければその工数は回収できない
落とし穴
一度「規約クリア」と計画書に書くと、その結論が後の意思決定の前提として再利用され、誰も検証し直さなくなる。確認したのがサイト規約だけなのか、配布ファイル本体まで見たのかを、根拠として残す。