利用規約は項目ごとに射程が違う — 「リンクは自由」の回答を複製・再配布の許諾として使わない
設計判断
ライセンス
データソース
判断
原則
公開データの二次利用について権利者へ許諾を問い合わせると、返答が規約の別項を引いたものになることがある。典型は、複製・再配布の可否を尋ねたのに「当サイトはリンクフリーなので特段の許諾なく利用できる」という趣旨の回答が返る形。組織のサイト利用規約はたいてい「リンクについて」「著作権について」「免責事項」が別項として並んでおり、リンクの自由と、データを複製・改変・送信することの可否は別の項が支配している。前者だけを答えた回答を後者の許諾として使うと、根拠のない前提の上に実装が積み上がる。
判断手順
- 自分がやろうとしている行為を、規約の語彙へ翻訳する。データを取り込んで自サイトから配信するのは「リンク」ではなく複製・改変・送信にあたる。
- 規約ページの全項目を一次情報で読む。回答文の引用範囲ではなく、ページに何項あり、どの項が自分の行為を支配するかを確かめる。著作権の項に「個人的使用と著作権法上認められる場合を除き、許諾なく複製・頒布・改変することはできない」といった条項が残っていれば、リンクの項は自分の行為をカバーしていない。
- 回答が自分の行為に触れていないと分かったら、行為を明示して再照会するのが原則。それでも進める判断をするなら、判断したという事実と根拠を記録に残す。
ファイル本文の注記が規約を上書きすることがある
サイト全体の規約がオープンライセンスでも、配布ファイル本文の一文(「この名簿を営利目的で使用することは御遠慮ください」等)がその適用を外していることがある。規約側が「特記がない限り」という条件付きなら、その注記は特記に当たると読むのが自然。サイトの規約ページだけでなく、配布物そのものの本文も読む。同種の注記が複数の配布元で共通して現れるなら、個別のミスではなくその種の資料に共通する運用と見てよい。
進める判断をしたときに実装へ落とすもの
- 規約が課している条件(出典表示の文言など)は、ページごとの手書きではなく設定の一箇所に定数化し、全ページで機械的に検証できる形にする。手書きは1ページ抜けても気づけない。
- 照会文と回答は証跡として保管する(リポジトリには置かない)。
- 取り下げ要請が来たときに、そのデータだけを1コミットで落とせる構造にしておく。ソース単位・種別単位で分離した設計は、そのまま撤収単位になる。