複数レビュアーを並列化するなら同一版承認と差分限定再レビューを組み合わせる
多段レビューを直列にする根拠は、前段が明白な欠陥を除去して後段の指摘数・ラウンド数を減らすフィルタとして働くことにある。前段の収束後も後段から固有の重大指摘が繰り返し出るなら、両者はフィルタ関係ではなく、異なる盲点を拾う補完的な検知器と判断する。この状態では直列順序を守る価値より待ち時間の加算が大きくなりやすいため、同じ差分への並列レビューを候補にする。
並列化の安全条件
各ラウンドの開始時に差分の版を識別できる指紋を記録し、すべてのレビュアーを同じ版に対して読み取り専用で起動する。片方の結果だけで修正を始めず、全結果が揃ってから重複・固有・相反指摘を分類し、一つの修正バッチへまとめる。
修正後は差分の版が変わるため、修正前の承認は失効扱いにする。次ラウンドも全レビュアーを更新後の同じ版へ並列起動し、完了条件は全レビュアーのブロッキング指摘がゼロ、かつすべての承認が同じ差分指紋を参照していることとする。
再レビューは差分限定に固定する
初回だけは変更全体を包括的にレビューし、2ラウンド目以降は前回指摘への対応と前回版から増えた変更による新規混入だけを対象にする。契約や境界に関わる修正でも全量へ戻す例外を置かない。例外条件は主観的に広がりやすく、局所修正まで全量扱いにして反復コストを膨らませるためである。
差分限定は周辺コンテキストを読まないという意味ではない。修正の正当性を判断するため、呼び出し元、既存ガード、関連契約を必要な範囲で読む。一方、前回から変更されていない全体差分を再び探索して新規指摘を探すことはしない。これにより、同一版承認の安全性を維持しつつ、ラウンド当たりのコストを修正量へ近づける。
切替判断と検証
直列から並列へ切り替える前に、複数タスクで前段収束後の後段固有指摘数を記録する。並列化後は、レビュアー別の固有指摘・重複指摘、レビュー総壁時計時間、収束ラウンド数、差し戻し回数を比較する。特にR2以降のプロンプトとログを確認し、変更していない全体差分の再探索へ戻っていないことを検証する。